一般社団法人とちぎ農産物マーケティング協会
Tochigi Agricultural Product Marketing Association

カラダにとちぎ


農産物情報 トマト

栃木県の施設トマト栽培は、昭和28年頃からビニールトンネルの導入から本格的な産地として出発しました。、昭和50年代には県内各地にトマト栽培が広がり、各地に産地が形成されました。現在は、冬春トマトを中心に398haの栽培が行われています。

 冬春トマトの出荷量は全国第4位。出荷は年内から始まりますが、気候が暖かくなる3月~6月に最盛期を迎えます。品種は、生食向けの大玉トマトとして「桃太郎」、「マイロック」、「麗容」等が栽培されており、12月~6月にかけて約30,000tが出荷されています。
また、一般的な大玉トマトの他、高糖度トマト、ミニトマト、房なりトマト等も一部の産地から出荷されています。

 全体の色が均一の濃赤色で、皮にハリ・ツヤがあるものが良品です。ヘタの部分がピンとしていて元気がよく、枯れていないものは新鮮な証拠。重いトマトほど中にジュースが詰まっていますから、同じ大きさならばずっしりと重いものの方がジューシーです。
買ってきたトマトはポリ袋などで密閉した後、冷蔵庫の野菜室に入れて保存します。食べごろの完熟トマトは傷がつきやすいので扱いはていねいに。傷の部分から傷みが始まってしまいます。


「安全・安心」な健康トマト、とちぎのトマト。大自然の恵みがたっぷり詰まったジューシーなおいしさが口いっぱいに広がります。
トマトはビタミンA、C、Eや、骨粗しょう症によいと言われるビタミンK、抗がん作用やカルシウムなど、私達の健康に役立つ成分がたくさん詰まっています。トマトはまさに「自然のお医者様!」。ヨーロッパでは、「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざもあるくらいです。(熟したトマトには、たくさんの栄養が詰まっているため、病気にかかる人が少なくなり、医者も商売にならないという意味です。)おいしくて、健康にいい栃木の完熟トマトを是非ご賞味ください。
おいしいトマトを見分けるには、ヘタがピンとした新鮮な緑色をしているもの、やわらかい部分がないことがポイントとなります。


畑からの便り1

食品としてビタミンAやCに加え、リコピンやカロチンを多く含み、サラダや加工用にも使われ健康野菜として人気の高いトマト。原産地はアンデス山脈の高冷地帯で、雨の少ない乾燥した地方がふるさとですが、日本ではハウスで栽培されているため、1年中収穫することができます。トマトはその収穫時期によって、冬春トマト、夏冬トマト、抑制トマト、越冬トマトと呼ばれています。

栃木県では、2月から6月頃が収穫時期の冬春トマトが中心で、「桃太郎」や「マイロック」という品種が中心です。

トマト作り20年、大田原市の藤田さん。
美味しいトマトの味を維持しつつ、収量を上げることに一番気を付けているということですが、水や温度管理などで微妙な加減が難しいとのことです。
現在、藤田さんはトマトの苗作りをしているところです。
トマトの苗は、病気に強い品種の台木に、味のよい品種の穂木を接ぎ木して作られます。そうすることにより、病気に強い美味しいトマトを作ることができるからです。
接ぎ木作業は下になる台木を斜めにカットし、同じようにカットされた穂木と合わせてクリップで固定していきます。苗木の1本1本はすべてこのような手作業で行われていきます。細かくて手間のかかる作業ですが、美味しいトマトを作るためには、とても大切な作業なんです。1日一人で700本位作ることができます。10aあたり2100本位の苗を植えるので、藤田さん宅では、年間8000本位の苗が必要になります。接ぎ木された苗は、3日位で切り口が活着し、3週間位かけて定植できる苗に育てます。


10月に接ぎ木した苗は、定植するまでの間に2本仕立てに仕上げられます。
これは、葉のつけ根から伸びてくる「わき芽」をかき取って調整し、1本の茎からもう1本の茎を伸ばしてあげます。こうすることによって苗の数が半分ですみ、育苗の省力化につながっています。
植えつける土壌は、トラクターで一度踏み固めておきます。土壌が柔らかいと肥料分が水といっしょに流れだしてしまうとともに、土壌が乾燥しすぎるため植物の毛管現象が有効に働かなくなるからです。
接ぎ木してから50日ぐらい過ぎると、いよいよ定植へと移っていきます。

苗の植えつけは最初につく花房の花が1~2 花咲く頃で、これより早すぎると草勢が強くなり着果がしにくくなります。
植え方は、花が通路側に向くように揃えて植えていきます。こうすると次に咲いてくる花も同じ方向に向くため収穫がしやすくなります。

定植してから収穫までの間は、いろいろな作業があるので忙しく、水や温度管理などは、特に気をつかいます。もともとトマトは雨が少なく乾燥している高冷地帯が原産地なので、水をやり過ぎると幹が太くなるばかりで肝心な果実は大きくなりません。家庭でトマト作りをする方は、この辺りに注意すると良いでしょう。また、初めての方にはミニトマトの方が管理が簡単なので向いているかも知れません。


~安全なトマトを作るための工夫

病気になりやすい環境をなくす工夫・・・植物は湿度が高い環境にあると病気になりやすいのです。そこでビニルで覆われたハウスの中の湿度がなるべく上がらないように地面に黒マルチ*1を敷きます。これを敷くと地中の水分が空気中に上がってくるのが少なくなり、結果としてハウス内の湿度を抑えることになります。 
作業は天気に合わせて・・・トマト栽培には毎日いろんな作業があります。たとえば今の時期なら側枝とり*2もその1つ。側枝を取った切り口からは病気が入りやすいので、夕方までに切り口が乾くよう、作業は天気の良い日を選んで行っています。
農薬の散布を減らす工夫・・・黒マルチのほかにオンシツコナジラミという害虫を減らすためラノテープ(次回特集します)を使用しています。これら農薬を減らす取り組みを行う生産部会に対しては、県がエコファーマーとして認証し、その取り組みを応援する制度があります。
*1 黒マルチとは0.5mmほどの厚さの黒色のビニルです。これを敷くことで湿度が上がるのを防ぐほか、雑草が生えるのを防いだり、地面の温度を高める効果があります。ちなみに冬場のハウス内の地中約10cmの温度が一番低くなるのは1月下旬から2月上旬で、およそ13度ぐらいまで下がるそうです。
*2 「そくし」と読みます。葉の付け根から出てくるわき芽のことです。
栽培ではこのわき芽が不要なため、小さいうちに取るのです。

冬場のトマトは水をあげるタイミングが難しい・・・もともとトマトは水をあまりあげない方がおいしく育つのですが、特に冬は水をあげると地面の温度が下がるので、なるべく水やりは控えるそうです。目安としては10日に1回。ただし葉先の色や株の勢いを見てタイミングを決めるとか。これは長年の経験、勘ですね。現在はテンシオメーター*2を参考にすることもできます。
肥料はどうするの?・・・藤田さんのハウスではトマトを植える前に完熟堆肥と肥料を土の中に入れておくので、基本的に追肥は行いません。元肥にはロング肥料180日タイプ*3 と呼ばれる肥料を使っています。
トマトの成長に必要な分だけ少しづつ吸収するので、しっかりと育っていくのです。
*2 土の中の水分量を測る簡単な機器。土の中に埋まる部分が素焼きになっていてそこから水が沁み出る強さで土壌水分量を判断する。
*3 窒素、リン酸、カリウムなど必要な肥料分が微細な穴のあいた樹脂に包まれており、その微細な穴から肥料分が少しずつ沁み出してくるので、長期間にわたりトマトの根が少しずつ吸収できる。


定植から2ヶ月経ちましたが、これまで順調に育っています。
トマトの大きさは1段目は小振りの卵、2段目はピンポン玉、3段目はビー玉ぐらいの大きさで、4段目は花が咲いています。
あと1ヶ月ぐらいで1段目のトマトが出荷になります。
昨年の秋は日照時間が平年より短かかった影響で、樹の生育管理に若干苦労しましたが、その後は晴天が続きハウス内の湿度が低かったこともあり生育も順調です。
現在の作業としては、
摘果・・・花は1段につき5~6個咲き、そのすべてを受粉させますが、すべてのトマトが肥大すると樹の負担が大きいので、4個を目安に実を取ります。

花びら取り・・・咲き終わった花びらが実に付着したままの場合が多く、そのままだと灰色カビ病という病気のもとになるので、手で1つ1つ摘み取っていきます。

芽かき・・・葉の付け根から出てくるわき芽は不要なため、小さいうちに取っていきます。切り口からは病気が入りやすいので、天気の良くない日は避けるようにします。

~おいしいトマトを作るための工夫~

ハウスの中の温度を高めにすると、生育が進み早く出荷することができます。
しかし、トマトの実は中味が充実する前に大きくなってしまうので、食べてもおいしくありません。
おいしいとちぎのトマトを作るため、産地では温度や水管理に細心の注意を払っています。例えば藤田さんのハウスでは、光合成が活発に行われる午前中のハウス内温度を23~24℃にし、午後は21℃ぐらいになるように調整しています。
また、土壌水分は控えめにすることで、根をしっかり張らせ、充実したトマトがなるようにしています。

トピックス
前回の掲載後に問い合わせがあった、非散布型殺虫剤(ラノーテープ)について説明します。
ラノーテープは黄色いプラスチック製のテープで、ハウスの中に張っておきます。
トマトの害虫であるコナジラミ類(オンシツコナジラミ、タバココナジラミ)の成虫は、黄色に誘引される性質があります。誘引されたコナジラミ類の雌成虫は、テープに塗布されている薬剤(ピリプロキシフェン)を体内に取り込みます。この薬剤は成虫に対する殺虫力はありませんが、接触した後に産んだ卵はその作用によりふ化が阻害されますので、コナジラミ類の増殖が抑制される、というわけです。


2月下旬の生育状況です。現在1段目が収穫中、2段目のトマトが少し赤くなり始め、3~6段目が卵大からビー玉大、7段目が開花中です。

1段目のトマトは2月20日から収穫が始まりました。これから2段目、3段目と徐々に収穫が進みます。

【収穫作業】
夏場のトマトはへたの上を指で押すだけでもぎ取ることができますが、この時期のハウス栽培トマトは水を抑えて作っているので、へたがしっかりとつながっていて、指で押したぐらいでは収穫できません。

そこで収穫作業にははさみを使います。左手にトマト、右手にはさみを持ち、体を屈めて収穫するため、腰に負担がかかる大変な作業です。収穫したトマトは台車にのせて運んでいきます。
この収穫作業は市場出荷に合わせて週に4回程度行います。

さて、今回は糖度についてお話しします。
トマトの糖度を測る場合、以前はトマトを切って汁を搾り、その汁で測定していました。しかし、使用したトマトは商品価値がなくなるので、たくさんのトマトを調べることができません。

そこで県内の主要なトマト産地では、近赤外線を利用してトマトを切らずに計測できる非破壊式の計測装置を導入しています。この装置は1台200万円する非常に高価なものですが、トマトの食味値向上の取り組みの一環として、栃木県の補助事業による支援を受けて整備されました。

また最近は持ち運びができるハンディータイプの糖度測定器が開発され、より簡便に計ることが可能となりました。


これらの機器を利用して、産地では生産者ごとにサンプル抽出し、測定した糖度を集荷場に掲示しています。藤田さんの所属するトマト部会では、糖度の目標値を6度と定め、これより低い場合は、灌水を控える、トマトに日が当たるよう"玉出し"作業を行うなど糖度アップにつながる対策をとっています。

このような取り組みを行うことで、トマトの食味値が向上し、消費者により美味しいトマトを提供することが可能となります。

また、美味しさを客観的に評価する制度として、栃木県では「品質認証制度」の導入を検討しています。この制度により、外見では判断できない食味に関する基準を示し、消費者の選択の幅を広げることや、品質に関する基準を設定することで、産地がより高い栽培レベルに到達することが期待されます。

 


4月中旬の生育状況です。現在5段目を収穫中で11段目が開花中です。これから5月15日を目安に生長点を手で摘んで栄養が実に行くようにし、7月まで約13段収穫する予定です。
【この時期の作業】
気温が上がってくるこの時期になると、トマトの呼吸量も増え、葉から水分が失われていくので、2日に1回程度の水やりが必要です。水は朝方あげるようにしています。
肥料は180日ぐらい少しずつ効くものを使っているので、土の中でじわじわと効いています。定植から180日が過ぎるこの時期、そろそろ追肥のタイミングを見計らうことになります。
追肥のタイミングは
①葉っぱの色が薄くなっているか
②株の先端の勢いが弱くなっていないか
③トマトの青み、赤みが薄くなってくる
などを目安に判断します。
収穫終了後にトマトに吸収されなかたった肥料が残らないように、追肥は控えめになるよう心掛けています。
収穫作業は市場出荷に合わせて行います。収穫したトマトはコンテナに詰めて、市内にある選果場に運びます。
さて、今回はトマトの選果場についてお話しします。
藤田さんのトマトはJAなすの共同選果場に集められます。選果場は市場の休み(休市といいます)に合わせて土曜日が休みです。選果、箱詰め作業は14名のパートさんが行っています。

作業工程を説明しますと
①生産者は午前10時までにコンテナに入ったトマトを選果場に持ち込みます。
②コンテナから取り出したトマトは、1つづつ外観で判断し、A、B、Cの3規格に分けラインに載せていきます。
③機械で大きさを判別し、2L、L、M、S~5Sまでの8段階に分けていきます。
規格及び大きさで分けることで、3階級×8サイズ=24種類に分けられることになります。
県内にはトマトの外見だけでなく、内部品質(糖、酸度など)を識別できる機能を持っている選果場もあります。
④規格、大きさごとに箱詰め、パック詰めされます。
出荷最盛期となるゴールデンウィーク前後は、選果作業が19時頃までかかります。
トラックへ積み込み後、首都圏、東北、県内向け出荷されます。夜中のうちに市場に到着し、その後スーパーなどに配送され、店頭に並びます。


(4人前)

トマト(中玉) 4個
玉ねぎ 1/5 ケ
セロリ 1/4 本
ツナの缶詰 2缶
マヨネーズ、つぶマスタード 各適宜
塩、こしょう 各少々

 


トマトは湯むきしてへたのある下の部分と上の1/3 あたりをカットする。上の部分は後で蓋にするため残しておく。


スプーンなどでトマトの種の部分や中身を適度にくりぬいて器をつくる。玉ねぎ、セロリはみじん切りにする。


トマトのくりぬいた中身も細かくカットする。


ボールにツナの缶詰をいれてほぐし、玉ねぎ、セロリ、細かくカットしたトマトを加えマスタード少々とマヨネーズであえ、塩、こしょうで味を整える。


トマトをくりぬいて作った器に中身を詰め、トマトの蓋を上に乗せてオーブンレンジで焼き上げる。


(4人前)

トマト中2個 卵4個 塩少々 こしょう少々 牛乳20ml バター20g パセリ


トマトを湯むきにする。


1を縦8つ割にし種を除き大きめのさいの目に切る。


フライパンにバター10gを溶かし、トマトをさっと炒め、4等分しておく。


卵を割り、塩、こしょう、牛乳を加え混ぜる。


バターを溶かし、4を流し入れ大きく混ぜてふわっとさせ3をのせてオムレツにする。


オムレツを4個作り、パセリ、トマトソースを添える。